14年間続けた医療法人を解散し、個人事業へ。
『法人から個人』という希少かつ難易度の高い手続きを、診療を止めることなく実現した事例
(神奈川県川崎市/歯科医院)

■ 結論
14年間運営してきた医療法人を解散し、個人事業へ切り替えるという、非常に珍しく難易度の高い手続きを実施しました。
法人から個人への切り替えに伴う保険診療の空白リスクや、契約名義変更、資産移管など、多数の論点が存在する中で、全体スケジュールを可視化しながら進行。診療への影響を出すことなく、約7か月にわたる手続きを完了しました。
また、単なる事務手続きにとどまらず、医院経営の方向性や「自分が本当に目指したい診療スタイル」を整理する時間にもつながり、個人事業へ戻したことで、よりコンセプトを反映した医院経営を実現できる体制が整いました。
■ ご相談前の状況
1999年に横浜市港北区で開業された歯科医院様でした。
開業当初から医療法人として運営されており、14年間にわたり法人格で医院経営を行っていました。しかし、年月を重ねる中で、
「自分が本当に目指したい歯科医療のあり方には、個人事業としての運営の方が合っているのではないか」という想いが強くなり、法人を解散して個人事業へ戻すことを検討されるようになりました。
一方で、「法人から個人への切り替え」は一般的な“法人成り”とは真逆の手続きであり、周囲にも事例が少なく、不安も大きかったといいます。
■ 背景/本手続きの難しさ
一般的に、医療業界では「個人事業から医療法人へ移行する」ケースは比較的多く見られます。しかし、本件のように「医療法人を解散し、個人事業へ戻す」ケースは非常に稀です。
そのため、
・そもそも個人成りが可能であること自体を知らない医師も多い
・対応経験のある専門家が少ない
・手続き全体像を把握している人材が限られる
という背景がありました。
さらに、医療法人の解散は単なる登記変更ではなく、
・保険診療の継続
・賃貸契約の切り替え
・医療機器や契約資産の名義変更
・カード会社やリース契約の整理
・保健所関係の届出
など、多数の実務が同時並行で発生します。
どこか一つでも対応時期を誤れば、保険診療の空白や契約トラブル、入金遅延などにつながる可能性があり、非常に慎重な進行管理が求められる案件でした。
■ 難易度が高かった理由と本件の課題
本件で特に難易度が高かったのは、「法人から個人への切り替え」という特殊性に加え、医院運営を止めることなく、あらゆる契約・届出・保険関係を同時に整理していく必要があった点です。
まず重要だったのが、保険診療の継続です。切り替えタイミングに空白期間が生じてしまうと、保険診療が適用外となるリスクがあるため、法人廃止と個人開設の時期調整を極めて慎重に行う必要がありました。
また、不動産契約についても注意が必要でした。法人名義の賃貸借契約を個人契約へ変更する際、契約条件が実質的に“再契約”扱いとなるケースがあり、
・原状回復義務
・看板設置
・火災保険
・設備撤去
・間仕切り変更
など、予期せぬ費用負担や契約リスクが発生する可能性がありました。
さらに、医院運営に関わる契約関係は非常に多岐にわたります。
・クレジットカード決済
・医療機器リース
・保守契約
・各種入金口座
・保険関係
・医師会関連

など、法人名義から個人名義へ切り替える必要があり、その数は膨大です。しかも、それぞれ適切な切り替えタイミングが異なるため、単純に名義変更を行うだけでは済みませんでした。
また、矢島先生ご自身も診療を行いながらの対応であったため、「何を、いつまでに、どこへ提出するのか」を明確に整理し、できる限り負担を減らしながら進行する必要がありました。
■ ご提案・対応内容
本件では、まず法人解散から個人開設までの全体工程を整理し、「現在どの段階にいるのか」「次に何を行うのか」が分かるよう、詳細なスケジュールを提示しました。
これにより、院長先生側でも手続きの全体像を把握でき、不安を軽減しながら進行できる状態を整えました。
また、契約関係については、
・どの契約を
・どのタイミングで
・どこへ連絡し
・どの順番で切り替えるべきか
を一覧化し、名義変更漏れやタイミングミスが起きないよう管理。
特にカード決済会社やリース契約などは、変更手続きに時間がかかるケースもあるため、診療報酬や売上入金に支障が出ないよう、切り替え時期を細かく調整しました。
さらに、不動産契約についても、安易に契約変更へ進まず、契約内容を慎重に確認するよう助言。原状回復や設備撤去など、後からトラブルになりやすい論点についても事前に整理を行いました。
そのほか、受任範囲外となる手続きについても、
・医師会関係
・カード会社
・各種名義変更
・保険関係
などの連絡先や注意点を一覧化し、院長先生が迷わず対応できるようサポートを実施。
また、約7か月の手続き期間のうち、前半約3か月では、単なる事務作業だけでなく、「これからどのような医院経営をしていくか」という“過去と未来の整理”にも重点を置き、今後の方向性を考える時間としても活用しました。

注意事項まで記載した一覧の例
■ 結果
約7か月に及ぶ手続きを経て、医療法人の解散と個人事業への切り替えを、診療への大きな支障なく完了することができました。
保険診療の空白期間も発生せず、契約関係や名義変更についても大きなトラブルなく移行を完了。
また、個人事業へ戻したことで、医院運営における意思決定の自由度や小回りが増し、矢島先生ご自身も、「経営が以前より面白く感じられるようになった」と実感されるようになりました。
さらに、今後は自身の診療コンセプトや価値観を、よりダイレクトに医院経営へ反映させていきたいという方向性も明確になり、新たな事業展開についても検討を進められています。
■ お客様の声
私にとって、今回の手続きは初めての経験で、とても不安でした。
それに対して、柏崎先生は、レアケースにも関わらず、手続きの開始から最後までの全体像=地図を示してくれ、「いま、ここです」と逐一教えてくれました。私としては、手続き過程で「手続き完了まで、どれくらいか?」ということが、正確に把握できたので、とても安心できましたよね。
医療法人を解散し、個人事業に戻るというのは、ケースとして多くないと思います。それでも、柏崎先生がつつがなく対応できるのは、医療法人設立の「豊富な経験」があるから、だと感じました。
報告・連絡・相談の多くはメールですが、クリニック経営に忙しいわたしにとって柏崎先生のメールはポイントが絞れているので、不要な情報はありません。かといって、無味乾燥なメールではない。
法人をやめて個人に戻るという難しい手続きだったにも関わらず、ポイントを押さえた文面ですぐに内容を理解することができました。不慣れな方の文章は、理解するのに時間がかかります。読んでストレスを感じます。
しかし、柏崎先生の文面からは、そのようなムダが感じられませんでした。
また、報連相をすればいいというのではなく、忙しい私に配慮した気配り・心配りも感じました。たしか、40から50通くらい、メールのやり取りをしたと思いますが、あまりの対応のよさに、履歴をすべて保存しているほどです。忙しいわがままな院長の対応を数多くこなして、とても慣れているのではないかと思いました(笑)
仕事柄、さまざまな方と接することが多いのですが、「頼んだことだけ」「言ったことだけ」しか対応してくれない人は多いものです。
しかし、柏崎さんは全く違いました。
言われなければ気づかなかった点、間違えそうな点には、先回りして指摘してくれました。それ以外にも「こんなところまで、対応してくれるの?」「こんなところまで調べなくてもいいのに」という部分にまで、対応してくれました。
たとえば、柏崎先生にとっては受任外の手続き(カードの名義変更、医師会の手続きなど)についてまで連絡先や注意事項まで記載した一覧を作成していただきました。
難易度が高く、頻度も少ない個人事業への変更手続きだと思いますが、多くの経験があるからこそ、できる対応だと思います。
ですからわたしは、「自分がすべきこと」に集中し、対応すればよかった。その点でも、専門家に依頼してよかったと思います。
また、柏崎先生は、7か月の手続き期間のうち、前半の3か月で「過去と未来の整理」をしてくれました。これにより今後のことを考える機会ができ、単に手続きを進めるだけでなく、頭の中が整理でき、今後の医療方針を再考することができました。このような手続きの進め方にも柏崎先生の心配りを感じました。
全体を通して感じたのは、知識が豊富だということ。おそらく、法人から個人への切り替えというのは、難易度が高く、頻度の少ないケースだと思います。個人成りができることを知らない医師もいますし、どんな手続きがあるか知らない医師も多いでしょう。それでも柏崎さんが対応できたのは、豊富な医療法人設立経験があったからだと思います。
おかげで、わたしの治療時間を使うことなく、無事に個人事業に戻れました。
14年ぶりに個人事業主に戻りましたが、経営面での変化はありません。むしろ、個人事業になったことで小回りが効くようになり、経営がいままで以上におもしろく感じてきました。
その経営についても、公認会計士や社会保険労務士、そして行政書士である柏崎さんなど、周囲でサポートしてくださるプロフェッショナルの方々からもいろいろと勉強させてもらっています。先日も、新規ビジネスを思いついたので、真っ先に思い浮かんだ柏崎さんに相談。会社設立のことも相談しましたね。
これからは、個人事業に戻した目的のひとつである、わたしの思い=コンセプトを医院経営に反映させていきたいですね。そのうえで、一歩ずつでも規模をおおきくしていき、より多くの患者さんに不安やストレスの少ない治療をしていきたいと考えています。

■ 本事例のポイント
本件は、「医療法人の設立」ではなく、その逆である「法人から個人への切り替え」という、非常に珍しいケースでした。
そのため、
・対応経験を持つ専門家が少ない
・全体工程が複雑
・契約や保険関係の調整項目が非常に多い
・タイミング管理が極めて重要
という特徴がありました。
特に重要だったのは、「単なる解散手続き」ではなく、『診療を止めずに移行すること』でした。
保険診療、契約関係、決済、リース、賃貸借契約など、多数の論点を同時進行で整理しながら、院長先生側の負担を極力減らして進行できたことが、本件成功の大きなポイントだったといえます。
また、本件では単なる事務手続きだけでなく、
「今後どのような医院を目指すのか」
「どのような医療を実現したいのか」
という、経営そのものを見つめ直す時間にもつながりました。
今後、後継者問題や少子化などを背景に、「医療法人の終わらせ方」を含めて検討する医師は増えていく可能性があります。
その意味でも、本件は『医療法人の出口戦略』という観点からも、非常に示唆の多い事例となりました。
~掲載ご協力医院様~
医院名 大倉山ヤジマ デンタルクリニック
院長 矢島 桂子様
所在地 神奈川県横浜市港北区大倉山1-17-11
URL http://www.ydent.or.jp/
医療法人の解散は、タイミングを誤ると取り返しがつかない意思決定です。
一方で、正しく設計すれば、将来に向けた大きなメリットを生み出すことも可能です。
まずは現状を整理し、最適な選択肢を一緒に検討するところから始めてみませんか。
【24時間受付中】
※確認次第、担当者よりご連絡させていただきます。
※法務手続きは行政書士法人プロシアス法務事務所が担当します。
※コンサルティングは柏崎法務事務所が提供します。
※当社では営業専任の担当者を置いておらず、無理な営業は一切行っておりません。
安心してご相談いただけます。
